英語の略語


英語だけには限りませんが、複数の概念を一つにしてまとめて総称する略語が時々生まれます。私たちはしばしば、すでに人口に膾炙するこうした言葉を所与のものとして無批判に受け入れ、それをまとまった概念として受け入れます。最近で言うと、ESGとかLGBT(Q)などがありますね。

こう言った言葉は、実際に活動している人たちやメディアがもてはやし、様々な形でパブリッシュされる結果として、急速に広まり、それ自体が初めから塊として否定できない存在であるかのような受け入れられ方をしてしまうことがあります。しかしながら、その起源をたどると、ひと固まりの概念として取り扱っていいのかどうか、取り扱うべきなのかどうかについては、それほど確たる了解がなされていないのではないかと思うことがあります。

おそらく、これは言葉の広がり方として、一部の積極的な「活動家」やキャッチーな言葉を求めるメディアなどが主導している場合に起こりやすいと思います。問題はこうした略語が十分に並列にふさわしいかどうかの検証がなされないまま、ひと固まりで使われ続けることで、あたかもこれらが同等の位置付けで扱われるべきだという勝手な認識が常態化することです。本当は別に扱うべきかもしれないのに、それこそ勝手に包摂すべきでないものを包摂してしまうリスク、そしてその結果社会がそれを間違って取り扱ってしまうリスクが生まれます。

同じような英語の略語としてはほかにも組織の名前(例えばGPIF),理論等の略称(MMTなど)、人の名前を並べたもの(MM理論など)などがありますが、これらは複数の単語で構成されるひと固まりの意味や並列するのが当然である人名などである点、特に問題はありません。単なる省略にすぎないからです。しかし、ESG(Environment, Society, Governance)やLGBTは、関連することなる概念を並列しているものであって、根本的に性格が異なると思います。この区別をきちんとつけておく必要が本来あったのではないかと思います。

それでもまだ、上に書いたうちのESGなどは所詮投資の概念であり、まあ極論すればお金に絡むだけの話しであり、専門家として考えればいい話しだと思います。またESGに関して言えば、確かにEやSは外部不経済の取り扱いの問題でありGが内部統制の問題と言う違いはあっても、結局は企業評価の問題に統合されるので、最終的には問題ないと思っています。(が、本来的に初めからいっしょくたに扱うべきだったのかどうかという疑問は残ります)。

一方LGBT(Q)については、個人的にはT以下は明らかに違う概念を包摂していると考えます。それを多様性というわけのわからない価値観のもとに十分な議論がないままひっくるめてしまっているのが、現在の問題の根源だと思っています。ESGなどと違ってLGBTの問題は人類や人間社会に対する根源的な問題であり、十分な議論が必要だろうと思っていますが、現在は「多様性」の承認を求める声に押され、その議論が十分なされていないと感じます。単なる性的志向の問題として「多様性」に含めるべき範疇と、生殖という根源的な(人の力でコントロールできないあるいはしすぎてはならない)分野に手を突っ込んでしまう範疇とは本来区別すべきだと思います。

https://jobrainbow.jp/magazine/transgid
このサイトはトランスジェンダーについての議論をフェアに説明していると思いますが、ここでも
“ちなみに、「LGBT」という単語を使う際に、LGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル)とT(トランスジェンダー)を同じくくりにしてよいのか、という議論があります。
その理由としては、今まで説明してきたように、トランスジェンダーは性自認についての話である一方、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルは、主として性的指向(どんな性を好きになるか)に関する言葉だからです。“
という記載があります。ただ、これに対する議論の答えは今のところ示されていません。

これに対するワタクシなりの答えはありますが、ここでは差し控えます。そろそろ冷静にそういった議論に立ち返ってあるべき姿を探すタイミングに来ているように思います。海外でどうだという議論は全く意味がありません。日本が唯一正しい答えを出せることもありますし、そういうことはかなり多いと思っています。

この記事へのコメント

2023年06月26日 07:52
金融系の当事者ですが、指向を志向と書く時点で認識が誤っています。当ブログのブランドに傷が付くのでご理解を深めた方が良いと考えます。
厭債害債
2023年06月26日 08:53
G様、コメント並びにご指摘ありがとうございます。タイポです。申し訳ございません。以後気を付けます。