国枝選手(車いすテニス)の引退に思う

車いすテニスの第一人者である国枝選手が引退を発表した。お疲れさまでした。

一度だけ、たまたまある会社のイベントのディナーで国枝選手の隣に着席したことがある。ある外資系金融機関が企画した顧客向けの招待イベントで国枝選手はメインゲストだった。すでに国枝選手はメジャー大会での優勝を果たし、押しも押されぬ第一人者となっていた。少しお話ししただけで、チャンピオンとして、そして全身から全身全霊車いすテニスに打ち込んでいる努力の塊のオーラが出ていた。お話しから、一流のスポーツ選手が更に車いすという条件をつけたうえでどれだけ日常生活を含めた節制と鍛錬に励んでおられるのか、うかがうことができた。

勝手な想像だが、極めてまじめでお酒も召しあがらなかったご本人にとっては必ずしも喜んで出席している場所ではなかったのではないかと思っている。おそらく、当時は車いすテニスに対する世間的な認知度を高めるという使命感をもって、ご本人が飲まない酒が提供されるディナーに出席するという仕事を引き受けられたのではないか、と思っている。我々の初歩的なあるいはちょっと思いの至らないような質問にも、一生懸命にこたえてくれていた。生涯グランドスラムを達成し、ようやく満足するかたちで「燃え尽き」ることができたのではないかと思っている。お疲れ様でした。

昨夜テレビで、その「後継者」ともいわれる小田選手が出ていたが、16歳にしてすでに年間王者とか素晴らしい実績をあげているが、松岡修三さんのインタビューや番組中での紹介をみて、そのすさまじいこれまでの闘病もさることながら、話している内容の一つ一つがいちいち人の心を打つような内容で、風貌も含めとても16歳には見えない。これまで想像を絶する苦労と血のにじむような努力の積み重ねが、小田選手をこのような高みに導いたのだと思う。素直に感動した。これからもぜひ活躍を続けてほしい。



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