良識の欠如~総務省の接待問題に思う


https://news.yahoo.co.jp/articles/5614d8666b0627af8d987f5107c9e8263c6c92ce

端的に言います。総務大臣を経験された方が、総務省が許認可権限のあるビジネスを行っている企業に、自分の息子を就職させることは、良識を欠いています。しかも現首相です。それが問題の根源なのです。

今、世間を騒がせている総務省幹部への首相長男からの接待問題は、それがすべての根源です。これ、まともに組織で仕事をした人なら簡単にわかると思います。最近日本のトップに身内を絡めた関係での良識が非常に欠如していると思える事案が増えています。安倍首相の時の配偶者の行動(森友学園事件など)や、今回のこともそうですが、どうして国のトップにまでなる人がそういうことを許してしまうのか、全く理解できません。

法律違反とかそういう話ではない。これは前に桜を見る会の問題点としても上げましたが、法律違反でなくてもそれ以上に問題であることがあるのです。総務大臣を経験し引き続き政権の主要なポストにいる立場の菅さんが総務省に対する一定の発言権を維持できていることは容易に理解できると思います。総務省が許認可権限を有するビジネスを行う企業にとって、菅さんに恩を売ることは非常に大きなアドバンテージとなるでしょう。これはもう当たり前すぎるぐらい自明ですから、通常はそういう相手に「借り」を作らないというのがきちんとした組織の人間のやることです。一つ間違えば「利益相反」や「背任」につながりかねない行動なのです。ましてや政治権力を持つ立場の人が、息子を会社に入れてもらって借りを作るなんて、大げさに言えば「常軌を逸している」。

実社会では政治家の子女が口利きで企業に入社することは、実は全く珍しいことではありませんし、そのことすべてに目くじらを立てる必要もないでしょう。ただ、今回は総務省に直接かかわる、つまり菅さんが力を及ぼせる官庁にかかわる企業であるがゆえに、大きな問題なのです。採用する側は当然その入社した方に何らかの行為を期待します。今回の場合年齢的には幹部としての入社ですから、ますます強い行動を期待しているはずです。仮に企業側が、菅さんの息子であることは採用を決めた要素ではないと言い張ったところで、だれも信じないでしょう。逆にだからこそ、ご本人にせよ親である菅さんにせよ、そのような就職は断るべきだと思います。わざわざ疑われる行動をとりに行く、その神経というか感性が信じられないのです。

接待の問題やそれに伴う様々な発言、議論の問題は当然起こるべくして起こっています。というか企業にとっては期待どおりの活動をしてもらったまでです。惜しむらくは世の中にばれてしまったことぐらいでしょうか。別に首相も人間だし、聖人君子のような行動まで望んではいません。ただ、公務員のトップなので、通常以上に職務に「個人的利益」を絡ませないことが求められるのではないでしょうか?そして、個人の利益や身内の都合を優先していると疑われることのないようなある程度の潔癖さは必要だと思います。ここ2代の首相にはとくにその点が欠けているのではないかと思います。

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