GO TOキャンペーンの混迷


新型コロナウイルスに対する政府の対応、特に所得補償関係の対応が「荒れて」いるように思います。要するに右顧左眄というか、芯が定まっていない感じが非常に出ていて、ある意味安倍政権らしい(念のために申し上げると首相個人の責任だけではないとおもいますが)部分です。

今回のGO TOキャンペーンはまさにその象徴的な部分がいろいろ出ていると思います。
まず、「なぜ旅行業界や観光業界だけ」特別のキャンペーンによる「救済」対象となるのかよく説明がなされないままキャンペーンの実施が打ち出されたことです。いや、わかりますよ、観光が大変だということぐらい。私の親族にもそういう業界の真っただ中にいる人がいるので、状況は本当によくわかる。でも、ほかにも苦しい業界はいくらでもある。銀座の飲食業も苦しいし、病院だって苦しい。その中でなぜこのキャンペーンだけが行われるのか、という説明が十分ではなかったので、非常にキャンペーンそのものの唐突感が際立っていました。まあどうせどこかの誰かが力づくで・・・と思ったら案の定こういうことであったわけですが。
https://bunshun.jp/articles/-/39127

まあ、いろいろやることは別に悪いことではないのですが、やはり最大のミスはこれがコロナ感染拡大のリスクを負いながらやるキャンペーンであることの自覚が大いにかけていたということです。人の移動を積極的に推し進めるのだから、感染がおさまらない中で行えば感染拡大に直結することぐらいわかりそうなものですが、それを、いったいどういう政治的な力学の結果なのかはわかりませんが、強引に実施した。しかもそこで痛恨のミスといえるのは、4連休という(実は延期されたオリンピックの開会式が予定されていた結果としての4連休だったわけですが)「チャンス」に目がくらんで、その前に実施しようとしたことです。

はっきり言って緊急事態宣言解除とその後の一定のイベント自粛の解除によってある程度感染再拡大は見えていたと思います(そうでなければただのバカです)。特に東京の渋谷や歌舞伎町の実態を知っている人ならだれでも、ああいうところできちんとした衛生観念や倫理観が通用しないことぐらいわかりそうなものです。それでも4連休ありきでキャンペーンの前倒しを宣言してしまった、この辺のなんというか致命的な思考の浅さというものが今回の混乱を招きました。

そして、東京の感染拡大が予想通り急激になって批判を浴びるとあわてて、東京発着のものがGO Toキャンペーンの対象外だと言い出し、ますます混乱をさせました。ここから先は政権そのものというより与野党全体で政治家たちがおかしなことを言い始めて、さらにこのキャンペーンの利用者も巻き込んでもうぐちゃぐちゃになりましたね。

そもそも、利用者もなんで「キャンセル料」のかかるようなキャンセルをするのか?行けばいいじゃないですか。もちろん会社から禁止されているなら別ですが、おそらくGO TOキャンペーンの政治的な流れにリンクして会社のルールを動かした企業はほとんどないと思います。つまり、もともと行くことは許されているしたぶん今も禁止はされていない。そのなかで、「キャンセル料」がかかるというのはツアーなら「催行する」、宿泊予約なら「受ける」ということなので、行けばいいということです。受け入れ側も断っていないのだから行けばいいのです。なぜキャンセルするのかまずそれがわからない。感染者拡大のニュースをうけてちょっと行くことに罪悪感を覚えるということはあるかもしれませんが、それでも自分できちんと行動を管理して感染防止に努めていれば、何もやましいことはない。堂々と行くべきです。

それでも、キャンセルしたければキャンセル料はちゃんと本人が払えばいい。そもそも旅行を決定したのもこの時期感染拡大を無視してにキャンペーンに目がくらんだのもすべて自己責任です。そもそも国から10万円もらえるんでしょ?それを生活費に宛てなきゃならない苦しい人はそもそも旅行なんか行かないわけで、今回このキャンペーンだからと言って旅行を企画した人は、それなりに余裕があるはずだから、こないだもらった10万円でキャンセル料賄えばいい。

にもかかわらず、「キャンセルが・・・」とかいう話が急にまた盛り上がり、まあキャンセルするほうもするほうですが、それで出たキャンセル料を補填する(厳密にはキャンセル料を顧客から徴収せず、資金的手当てを業者側に行う)ことになったようです。本当にxxかと思いました。それなら初めから、業者に補助金出せばいい話です。まあ当初の想定より急激に東京都などの感染者数が増えたという事情はあったにせよ、あまりにも稚拙な段取りに涙が止まりません。まあ公明党の人が大臣やってることもこういう「人気取りに振り回される」マインドが前面に出る一つの要因なんだろうとは思いますが。

おそらく、こういった一連のドタバタに付き合わされる役所の皆さんもたぶん大きな犠牲を強いられていると思います。いろいろな意味でいまの政権の弱点を典型的に示した事例で、本当に不幸なことではないかと感じます。

この記事へのコメント

匿名
2020年07月25日 19:57

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