政府に望むもの



いよいよ大型連休が後半となり、4日には政府から新たな方針が出る。おそらく1カ月程度の一定期間の「緊急事態宣言」延長と、それに伴う経済活動自粛の一定の見直し等となるだろう。

これまでの政府の活動をみる限り、結果としては比較的うまくやっていると思います。アジア全般に言えることなので日本政府のせいかと言えるかどうかは分からないですが、人口当たりの死者数はかなり少ないし、最初のダイアモンドプリンセス号での感染は一旦完全に抑え込んだし、その後も医療崩壊を防ぎつつ何とか頑張っています。医療現場の方々のご努力には本当に頭が下がる。今さらですが、欧州などからの帰国ラッシュによる第二波を不用意にもろに食らってしまったことが悔やまれます。素人のワタクシでも、欧州での当時の広がりを見ていて、これをそのまま受け入れてははまずいと思ったぐらいです。もちろん法律的な問題はあるのは重々承知で、超法規的でもなんでもいいから(おそらく違法でもなんでもしばらく留め置いて、不当拘束であとから損害賠償払ったほうが安くついたと思う)全員を隔離する、あるいは航空機の着陸を禁止するなどの措置がとれなかったのかなとちょっと思いました。どうせ結局これだけほかのところで超法規的な扱いとか非常時扱いでルールがぐちゃぐちゃになっているのだから。

1日の夕方の専門家会議の会見を聞いていて、おやっと思ったことがあります。そこでは、これまで経済の専門家が議論に加わっていなかったから、これからはそういう人を加えてその知見を生かした議論をしていきたい、と言っていました。まあそうなんだろうと。最初の段階では、感染拡大と医療崩壊をどのようにして止めるかがまず最大の優先課題であって、経済は二の次であったと思います。国民の多くが死んでしまうようなレベルになったら、経済どころではない。それに、「専門家会議」なのだから医療の専門家の知見を政府に伝えるのが仕事だろうと思うので、むしろ経済のことを考えない方がいい。それは政府なり首相、政治家の仕事だと思うのです。しかし、大きな意味での経済を含めた選択肢が国民に提示されているかというとそれは十分にできていないと思います。

まあ難しい判断だろうと思いますが、世の中としては、日本だけではなく、経済活動停止の影響や学校休止の影響がかなり厳しくなっている。影響の分析は非常に難しいことは承知の上で、たとえば西浦教授のシミュレーションのような40万人死亡とか、そういうある程度具体的な想定を出したうえで国民に窮乏を要請していくことが本来は望ましいと思います。そうしないと、先の見えない「自粛」と窮乏が続くことに耐えられなくなるし、国民の気持ちも次第にすさんできます。それに、そもそもどういう経済的な対策を打つべきかも見えない。もしかしたらすでに誰かがやってくれているのかもしれませんが、そういう我々の経済なり社会なりの先の姿をみせて、そのうえで例えば死者が40万人でもいいから経済の回復を願うという選択肢を提供することも政治家の役目ではないでしょうか?

個人的にはスウェーデン的な大胆な挑戦もありだと思っています。コロナにかかった人は一切治療せず、重症者も含めて、隔離だけして自力で回復を待つ。その結果としてある程度大量の死者を想定する、という選択肢もありだと思っています(そうすることで勝手に自粛は一層進むかもしれませんね)。しかしそのためにはきちんとしたシミュレーションが経済の面でも示される必要があると思います。もちろん現状のようにできるだけ死者を増やさない、そのために経済側で最大限の譲歩をするというのも戦略であり、いまワタクシは言われた通り我慢と辛抱を続ける用意はあります。しかし、すでに自殺者もでており、これからも経済関連で命を落としたり様々な不幸に見舞われる人々も増えるでしょう。子どもたちも荒れたり、社会の規範も崩れたりするでしょう。それを受けいるためには、その辛抱の先にどのような経済と命とのバランスが想定されているのか、それがないと非常に辛い人が多いのではないでしょうか。政治にはそこを示していただけたらと思うのです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック